島写真館 嶋陽一さん、雄司さん
YOICHI AND YUJI SHIMA OF THE SHIMA CAFE STUDIO
ガラスフィルムが刻む街の記憶
大きく重いカメラと木製の三脚を担ぎ、町内を、そして山道を黙々と歩く男の名は嶋力蔵。島写真館の創業者であり、箱根の山々や強羅、宮城野の町の姿、そして開通したばかりの登山電車をガラスフィルムに刻みつけてきたレジェンド。その中の1枚、荒涼とした山肌からもくもくと噴煙を上げる大涌谷がおさめられた1枚は、昭和24年発行の記念切手にもなっています。
若くして写真に魅せられた力蔵さんが強羅の地に写真館を開業したのは今から約1世紀前、箱根登山鉄道が開通した1919年。現在は三代目にあたる陽一さん、そして四代目の雄司さんが、写真への情熱とともに写真館を引き継いでいます。併設された「スタジオカフェ・シマ」では、香り高いコーヒーと手作りのケーキを楽しむことができ、町の人々や観光客の憩いの場となっています。
在りし日の強羅の姿を収めた力蔵さんの写真は、ホテルのゲストルームのベッド上いっぱいに広がるモダンでポップなアートワークや、ロビーの柱にパズルを連想させるような動き絵として生まれかわり、見るものを100年のタイムトリップへと誘います。